PdM求人票の書き方|1人目採用で外せない7項目とテンプレート

1人目のPdMを採用しようと決め、いざ求人票を書こうとしたところで手が止まってしまった――そんな経験はないでしょうか。エンジニアやセールスの求人票であれば、必要なスキルや経験年数をある程度定型的に書けます。しかし自分自身がプロダクトマネジメントを兼務してきた場合、その業務を言葉にすること自体が初めてで、「何を求めているのか」を求人票という短い文章に落とし込むのが意外と難しいのです。

📌 関連記事:スタートアップの1人目PdM採用タイミング|社長がプロダクトを手放すべき5つのサインと判断ステップ

本記事では、1人目のPdM採用にあたって求人票に入れるべき7つの項目と、それぞれの書き方のポイント、そのまま使えるテンプレートの構成を解説します。

目次

なぜPdMの求人票は書きにくいのか

一般的な職種の求人票は、業界内である程度「型」が定まっています。エンジニアであれば使用言語やフレームワーク、セールスであれば商材と目標数字を書けば、応募者は自分がその仕事に合うかどうかをある程度判断できます。

一方でPdMという役割は、会社によって任される業務範囲が大きく異なります。ある会社では要件定義とスケジュール管理が中心かもしれませんが、別の会社では顧客インタビューからロードマップ策定、ときには採用面接への同席まで求められるかもしれません。この振れ幅の大きさゆえに、他社の求人票をそのまま参考にしても、自社の実態とずれた内容になりやすいという事情があります。

さらに、社長自身がPdM業務を兼務してきた場合、その業務は「なんとなく自分がやってきたこと」として体に染みついており、言語化されていません。求人票を書くという作業は、これまで無意識にこなしてきた業務を初めて棚卸しし、他者に説明できる形に変換する作業でもあるのです。

求人票に入れるべき7つの項目

以下の7項目を押さえることで、応募者が「自分に合うポジションかどうか」を判断しやすい求人票になります。

項目1:事業とプロダクトの現在地。 会社の事業フェーズ(資金調達の状況、従業員数)と、プロダクトがどの成長段階にあるか(0→1の立ち上げ期なのか、既存プロダクトのグロース期なのか)を明記します。この情報が抜けていると、0→1の経験を積みたい応募者と、安定運用の経験を積みたい応募者の両方から応募が集まり、選考の初期段階でミスマッチが発覚することになります。

項目2:任せたい業務範囲。 ここが最も書きにくく、同時に最も重要な項目です。社長自身が現在担っているプロダクト業務を棚卸しし、そのうち「引き継ぎたい業務」を具体的に列挙します。棚卸しの進め方については、以下の記事でも触れています。

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項目3:求める経験・スキル(MUST/WANT)。 「PdM経験3年以上」のように経験年数だけで区切るのではなく、実際にどの業務を任せたいかから逆算してMUST(必須)とWANT(歓迎)を分けます。たとえば「顧客インタビューの設計・実施経験」を任せたい業務に含めるなら、それをMUSTに入れる、といった対応関係を意識します。

項目4:裁量とレポートライン。 誰に対して何を報告し、どこまでを自分の判断で決めてよいのかを明記します。「意思決定はすべて社長と相談の上で」なのか、「予算◯円以内の施策は自身の判断で進めてよい」なのかによって、応募者が想像する働き方は大きく変わります。

項目5:評価軸。 何をもって成果と見なすのかを書きます。売上やKPIといった事業指標に直結する場合もあれば、リリースサイクルの改善やチーム内の意思決定速度の向上といった、プロセス面の指標が重視される場合もあります。曖昧なまま採用すると、入社後に「何を目指せばよいか分からない」という状態を招きます。

項目6:入社後のオンボーディング。 最初の1〜3か月で何を優先して進めてもらうのかを示します。ここを書くためには、社長の頭の中にある背景知識(顧客理解、過去の意思決定の経緯など)をどう引き継ぐかを事前に考えておく必要があります。この引き継ぎ資料の作り方は、以下の記事で詳しく解説しています。

📌 関連記事:PRD(プロダクト要求仕様書)の書き方|社長の頭の中を「1人目のPdM」に渡すためのテンプレートと5項目

項目7:給与レンジと条件。 正社員採用なのか、業務委託や顧問といった形での参画を想定しているのかによって、書き方も応募者層も変わります。正社員採用と外部活用のどちらが今のフェーズに合っているかを迷っている場合は、以下の記事も参考になります。

📌 関連記事:PdMは採用すべきか、外部に頼むべきか|「人の内製化と外注」を判断する5つの軸

よくある失敗:他社テンプレートの丸写しと経験年数偏重

求人票を書く際によくある失敗が2つあります。

1つ目は、他社の求人票をそのまま流用してしまう失敗です。 前述の通り、PdMの業務範囲は会社ごとに異なります。大企業のPdM求人には「全社横断的なプロダクト戦略の立案」といった記述が並びますが、スタートアップの1人目PdMに求められるのは、多くの場合もっと実務的で泥臭い業務です。他社の求人票の言葉をそのまま借りると、実態とかけ離れた応募者を集めてしまい、選考にも入社後にもミスマッチが生じます。

2つ目は、「PdM経験◯年以上」という経験年数だけで足切りしてしまう失敗です。 経験年数は、実際に何ができるかを保証するものではありません。それよりも、項目2で棚卸しした「任せたい業務」に近い経験(たとえば顧客インタビューの実施経験、開発チームとの仕様調整の経験)を持っているかどうかを基準にした方が、実際に活躍できる人材を見極めやすくなります。

具体例:従業員10名のSaaSスタートアップ

従業員10名、シードラウンドを終えたばかりのBtoB SaaSスタートアップを例に、求人票作成の流れを確認します。

このスタートアップでは、社長がプロダクトの要件定義から顧客からの問い合わせ対応まで一手に担っていました。まず1週間分の業務ログをつけて棚卸しを行い、「顧客からの機能要望の一次仕分け」と「開発チームへの仕様説明」を1人目のPdMに任せたい業務として特定しました。一方で、「資金調達に関わる事業方針の判断」は当面自分が持ち続けると決めました。

この棚卸しをもとに、求人票の「任せたい業務範囲」には「顧客要望の一次仕分けと優先順位案の作成」「開発チームへの仕様説明とすり合わせ」を具体的に記載し、MUSTスキルには「toBプロダクトでの顧客折衝経験」を、WANTスキルには「SaaSプロダクトでの要件定義経験」を設定しました。経験年数による足切りは行わず、代わりに選考課題として簡単な機能要望の優先順位付けを実施してもらう形にしました。

結果として、経験年数は浅いものの顧客折衝の実務経験が豊富な候補者と出会うことができ、入社後3か月で顧客要望の一次仕分け業務を任せられる状態になりました。

よくある質問(FAQ)

Q1. 求人票はどのくらいの文字数で書けばよいですか?

明確な目安はありませんが、7項目すべてを具体的に書くと、日本語で1,500〜2,500字程度になることが多いです。短すぎると応募者が自社との相性を判断できず、長すぎると読まれなくなるため、各項目を2〜4行程度にまとめるのが実務上のバランスです。

Q2. 業務委託やフリーランスのPdMを募集する場合も同じ7項目でよいですか?

基本的な項目は共通ですが、項目7(給与レンジと条件)は稼働日数・報酬形態(月額固定か成果報酬か)に置き換える必要があります。フリーランスPdMという働き方の特徴については、以下の記事も参考になります。

📌 関連記事:フリーランスPdMという働き方|キャリアの新しい選択肢として知っておきたい魅力と始め方

Q3. 求人票を書く前に、社内で何を準備しておくべきですか?

最低限、項目2で紹介した「任せたい業務範囲」の棚卸しを済ませておくことをおすすめします。この棚卸しが曖昧なままだと、7項目のうち半分近くが書けなくなってしまいます。

Q4. 求人票にプロダクトの課題(うまくいっていない点)を正直に書いてもよいのでしょうか?

書いて構いません。むしろ、課題を隠したまま採用すると、入社後のギャップから早期離職につながるリスクがあります。「現在こういう課題があり、それを一緒に解決してくれる人を探している」という書き方の方が、課題解決に意欲的な候補者からの応募につながりやすくなります。

Q5. 求人票を書いたあと、社内の誰かにレビューしてもらうべきですか?

可能であれば、実際に一緒に働く開発チームのメンバーに目を通してもらうことをおすすめします。社長が想像している業務範囲と、開発チームが実際に期待している業務範囲にズレがあるまま求人票を出すと、入社後に「聞いていた話と違う」という認識のズレが生まれやすくなります。

まとめ

PdMの求人票を書く難しさは、他の職種のように定型化された「型」がなく、社長自身が無意識にこなしてきた業務を初めて言語化する作業を伴う点にあります。事業とプロダクトの現在地、任せたい業務範囲、求める経験・スキル、裁量とレポートライン、評価軸、オンボーディング、給与・条件という7項目を順に埋めていくことで、応募者が自分に合うポジションかどうかを判断しやすい求人票になります。

他社の求人票をそのまま流用したり、経験年数だけで足切りしたりする失敗を避けるためにも、まずは項目2の「任せたい業務範囲」の棚卸しから始めてみてください。


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この記事を書いた人

Kayoko Itoのアバター Kayoko Ito プロダクトマネージャー

東京工芸大学芸術学部卒業。IT企業での新規メディア開拓営業、広告プラットフォームの改善、ゲーム系メディア運営を経て、スキルシェアサービスのプロダクトオーナーとして牽引。

現在はフリーランスとして、新規事業・SaaS開発を支援するプロダクトマネージャー・UI/UXデザイナーとして活動。また、プロダクトマネージャーのメンタリングも行っています。

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